行政書士みうら国際法務事務所

<最良の解決策をご一緒に考えましょう>

国際結婚と国籍・戸籍・住民票

<婚姻届/日本国内での結婚>

国際結婚を法的に有効に成立させるには、まず両方の国に届け出るという基本事項があります。どちらか一方ではダメなのです。日本人同士でしたら、2人の戸籍謄本と婚姻届だけで済みます。しかし、法律が違う国の者同士の結婚はそれだけ多くの書類が必要になります。

 

<日本での婚姻の要件>

婚姻届が受理されるためには、結婚する2人がその国で定める婚姻の要件を備えていなければなりません。日本では以下の7つの要件が必要です。

1、男性は満18歳以上、女性は満16歳以上であること。

2、配偶者のある者は重婚できない。

3、日本人の再婚を予定する女性は、前婚の解消または取消しの日より、100日を経過した後でなければならない。

4、直系血族または3親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。

5、直系姻族の間では婚姻をすることができない。

6、養親子関係者間の婚姻はできない。

7、未成年者は父または母の同意が必要。

 

以上は日本での場合になります。婚姻が可能な年齢は国によって違いますし、その他の要件も異なります。相手の国で定めている婚姻の要件を調べておく必要があります。

<婚姻届の提出/日本国内で先に届出する方法>

日本国内の役所へまず先に届出する方法を述べます。

 

A、届出に必要な書類

1、婚姻届書

いわゆる結婚届の用紙です。市区町村の役所にあります。また、結婚の証人として、成人2人の署名と押印が必要です。証人は外国人でもかまいません。

2、戸籍謄本(日本人のみです)

3、婚姻要件具備証明書(独身証明書)

外国籍の人が、本国の法律で結婚の要件を満たしているかどうかを証明するものです。日本語の翻訳文が必要です。外国人の婚約者が「独身であること」「婚姻年齢に達していること」など、その国の法律で、結婚の実質的要因を満たしていることを証明する書類です。出身国の在日大使館・領事館で発行しています。但し、国によっては「婚姻要件具備証明書」を発行していない国もあります。その場合は「宣誓書」「申述書」「公証人証書」なども「婚姻要件具備証明書」の代わりとして受け付けてもらえます。

4、国籍証明となるもの

外国人の国籍を証明するものです。パスポート・在留カード・出生証明書などです。

 

B、婚姻届提出の手順

1、役所で婚姻届の用紙と自分の戸籍謄本を入手します。

2、役所の戸籍担当者と会います。婚約者の出身国を告げて、必要となる書類を聞きます。役所には「婚姻要件具備証明書」を発行する国のリストが備えてあります。発行しない国の場合は、その代わりに用意する書類を教えてもらいます。

3、書類の申請

婚約者の国の在日大使館・領事館に行き、書類の申請手続きをします。

4、2人の書類が揃ったら、市区町村の役所に提出します。

5、役所で「婚姻受理証明書」を発行してもらいます。

6、相手国の在日大使館・領事館に「婚姻受理証明書」を提出し、婚姻の届出をします。

 

「外交婚」とは、先に相手国の在日大使館・領事館で結婚手続きをしてから、その国が発行する「結婚証明書」の翻訳文を添えて、所定の書類とともに、3ヶ月以内に日本の役所に届出る方法です。ただし、これは日本に住んでいる、その国のカップルが結婚届を出す場合しか認めていない国が多いようです。

 

*つまり、国際結婚は日本と相手国同時に婚姻届を提出して、初めて有効になるのです。

<国際結婚と戸籍>

戸籍制度のある国はごく少なく、日本の他には台湾くらいとされています。戸籍とは、個人の家族的身分関係を明確にするため、夫婦とその未婚の子とを単位として、氏名・生年月日・続柄などを記載した公文書で、本籍地の市町村に置かれます。日本人が出生してから死亡するまでの出来事を記録する書類です。

たとえ外国に居住していても、国籍が日本ならば、その人の戸籍は本籍地の役所に保管されています。戸籍がなければ、「婚姻届」も出せませんし、「パスポート」も作れません。

 

「夫婦とその未婚の子を単位」としているので、子が結婚したら親の戸籍から出て、自分達夫婦の新しい戸籍を作ります。その際、夫婦のどちらかが「戸籍筆頭者」になります。国際結婚の場合は日本人が戸籍筆頭者になります。

 

<結婚前の戸籍>

結婚する前の戸籍は以下のようになっています。

1、本籍地・・・親の本籍地です。

2、氏名(戸籍筆頭者)・・・父親か母親の姓名です。

3、生年月日・・・本人の生年月日です。

4、父・・・父親の姓名です。故人でも記載されます。

5、母・・・母親の名です。故人でも記載されます。

6、続柄・・・父母との続柄で、長男・二女などと記載されます。これで性別が判断されます。

7、名・・・本人の名が記載されます。

8、配偶者区分・・・未婚の場合は空欄です。

外国人との婚姻を日本の役所に届け出ると、新たに、日本人である夫または妻が「戸籍筆頭者」となって、親から独立した戸籍が作られます。新しい戸籍は以下のようになります。

 

*本籍地・・・海外に住む人でも、日本国内に本籍地が必要です。本籍地はどこにしてもかまいませんが、通常は親の住所か元の本籍地にしておく

人が多いようです。

*氏名(戸籍筆頭者)・・・日本人の夫または妻の姓名が入ります。

*配偶者区分・・・本人で、「夫」または「妻」と記載されます。

*身分事項欄・・・自分の出生届の記載が最初に書かれ、その後に外国人配偶者との婚姻事実が記載されます。記載される内容は、婚姻届出の年月日・外国人配偶者の国籍・氏名・生年月日です。

 

外国人配偶者の名前は、姓・名の順で、基本的にカタカナで記載されます。アルファベットは使えません。漢字を使用する国に限っては、漢字の記載も認められていますが、日本の正字に限られており、自国で使っている俗字は使用できません。

 

カタカナの場合、ミドルネームはファーストネームの後に続けて記載されます。中黒やスペースは入りません。

たとえば、ポール・マイケル・スミスさんの場合には、姓がスミス、名がポールマイケルとなって、「スミス、ポールマイケル」と戸籍には記載されます。

 

国際結婚の場合、婚姻届を出しただけでは、日本人の戸籍上の姓は変わりません。配偶者の外国姓にしたい場合は、婚姻届と同時に、同じ役所に別途、「氏の変更届」を提出する必要があります。もし、遅れた場合でも、6ヶ月以内であれば、いつでも受付てもらえます。ただし、6ヶ月を過ぎてしまいましたら、今度は家庭裁判所の許可が必要です。

<国際結婚と国籍>

国籍とは、個人と国との関係です。これに対して、結婚は個人と個人との関係です。ですから、結婚によって、新たに国籍を取得することはありませんし、また、日本国籍を失うことはありません。

 

ただし、スイス・イランなど、一部の国の男性と日本人女性が結婚すると、日本人妻は、その国籍を付与されてしまいます。いわゆる二重国籍

です。長い期間、二重国籍にあることは不都合ですから、いずれかの国籍をすみやかに選択するべきでしょう。日本は二重国籍を認めておりません。もし、スイス人男性と結婚した、日本人妻がスイス国籍を、自分の意思で選択した場合、同時に日本国籍を失います。

<外国人の住民票>

平成24年7月に施行された、「住民基本台帳法の一部を改正する法律」により、外国人住民にも住民票が作成されることになりました。国際結婚をした日本人は、外国人である配偶者と一緒に、世帯全員が記載された住民票の写しが取得できることとなりました。そして、平成25年7月からは、住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)及び住民基本台帳カード(住基カード)についても運用が開始されました。これに伴って、従来の外国人登録法は廃止されました。

 

住民基本台帳制度の適用対象者は、観光などの短期滞在者を除いた、適法に3ヶ月を超えて在留する外国人で、住所を有する人です。

主な区分は2つで、「在留カード」交付対象者である、「中長期在留者」及び入管特例法により定められている「特別永住者」です。特別永住者には、「特別永住者証明書」が交付されます。