行政書士みうら国際法務事務所

<最良の解決策をご一緒に考えましょう>

熟年再婚/卒婚

<熟年再婚の現況>

かつて離婚を経験して、今は熟年でお一人となった女性の中には「男の人の身のまわりの世話はもうまっぴら、一人でのんびり、自由に暮らしたい」と思っている方も多いと考えられます。年金分割制度ができましたが、まだまだ女性の収入は不安定です。中高年の趣味のサークル、又、出会いの場を提供している団体も数多くあります。出会いの場がどこであっても、本当に信頼し合い、人生を共に過ごしたい、再婚したい人ともう一度めぐり合う事ができたら、それはとてもすばらしいことでしょう。収入と身のまわりの世話を役割分担して、依存し合うのではなく、互いに自立して尊敬しあう大人の男女のパートナーです。

 

<ミスマッチの原因>

男性はほとんどの場合、なるべく若い女性を求めることが多いようです。これに対して女性は、同年齢かやや若い男性を求める傾向が高いとされています。従って当然にミスマッチの状態となります。又男性で嫌われるのは、自己主張、自己保身が強く、思いやりに欠けるタイプ。女性で嫌われるのは経済的な要求を露骨に男性に要求するタイプと指摘されています。男女ともしっかりした価値観がないと相手から敬遠されてしまいます。又、将来二人で老後をどう生きていくのか、鮮明な青写真を持っていることが大切でしょう。

 

<熟年再婚に起こる問題>

熟年再婚には初婚や若い方の子連れ再婚とは全く別の問題が起こります。一番大きいのは相続でしょう。妻には法定相続分が必ずあります。子と妻とで相続する場合は1/2です。又、最低保障としての遺留分は遺産全体の1/4に及びます。ですから円満に熟年再婚を成功させる為には、お互いの子ども達との合意をしっかり取り付ける必要があります。

<婚姻届が提出できた場合>

婚姻届が提出できれば正式の配偶者ですから、当然に相続人となります。しかし、問題が起こる可能性があります。この為、再婚をする前には「公正証書による結婚契約書(婚姻契約書)」を作成しておく事をお奨めします。この作成はお二人のみを守るばかりでなく、子どもたちとの間に無用の争いが噴出するのを未然に防ぐ効果があります。

 

<事実婚(内縁)の場合>

事実婚の場合は相続人ではありませんから、多くの問題が起こります。親族の反対に会って婚姻届の提出を断念せざるを得なかった場合においても、幾つかの方法はあります。まず、何としても内縁の妻に財産の一部を贈りたいのなら、「公正証書遺言」を作って下さい。この中で内縁の妻に何を贈るのか書きます。この時、他の相続人の遺留分を守って下さい。又、自分が元気なうちに贈るのなら、「公正証書による贈与契約書」を作成し、実際に贈与を完了させて下さい。自分が亡くなった後に贈る場合「公正証書遺言」でも十分ですが、内縁の妻に独自の証拠として持たせてあげられるものに「公正証書による死因贈与契約書」があります。これは契約書の形で、本人と妻とが、それぞれ別に所有しておくものです。この死因贈与契約書を追加作成する目的として、例えば、ある相続人に「公正証書遺言は遺贈になるので、内縁の妻は辞退する事が出来るのではないか」等の反論をされた場合、それを完全に封じ込めることができるのです。

 

どちらかが認知症になった場合の対策も必要です。事実婚配偶者の判断能力が不十分となり、後見申立ての必要が起こっても、内縁の配偶者は、共に申立人になることができません。こうなる前に、「任意後見契約書」を二人ともそれぞれ作成しておく必要があります。これで互いを守ることができます。 

生命保険においては、相続人でない内縁の配偶者を受取人とする契約はできないとされています。 

逆に子ども側からすれば、推定相続人として親から「生前贈与」を受け取ってしまう方法があります。

 

<大人としての解決策>

問題は数多くありますが、お互いに良識を持って、解決していくしか方法はありません。

1、再婚相手と子どもが養子縁組をする。

2、入籍せずに事実婚にする。

3、茶飲み友達の交際を続ける。

4、配偶者には1/4の遺留分があります。従って再婚する前に 公正証書遺言で再婚相手の相続分を1/4相当と書いてもらう。又は夫の考える相続分を書く。

5、熟年での再婚は残された年月を新たな配偶者にめんどうを見てもらう事でもあります。その分、子ども達の負担も減る訳です。ですからトラブルを防ぐ為には、3者間の「大人としての解決策」を互いに探し出す努力と歩み寄りが必要です。

<卒婚>

「卒婚」という言葉は、杉山由美子氏の造語とされています。「離婚か結婚の継続か」の二者択一ではなくて、結婚は継続したままで、お互いに束縛はしないで、自由にやりたいことをやる、緩やかな夫婦関係を指すとされています。当然ですが、中高年となっていて、子育ても終わって責任もなくなっている世代が当てはまります。多くの中高年の夫婦にとっては、とても心地よく、ほっとする印象があると思われます。

 

ただ、「卒婚」という言葉の意味はどのようにも受け取れ、大変便利で好都合な「耳当たりの良い、魔法のような言葉」とも解釈できます。

卒婚を実践するのには、いくつかの条件が必要なのではないかと思われます。

1、お互いに、金銭的にかなりの余裕があること。

2、一方から、もう一方へ定期的に金銭的な援助をしなくても良い関係になっていること。

3、お互いの異性関係に対して、おおらかな感覚でいられること。

4、夫婦の性的関係においても、ほとんどこだわりを持たない感覚でいること。

5、これまでは、お互いに支え合って生きて来たはずですが、今後は、お互いの責任感が大きく後退し、重要ではなくなる。

6、二人とも精神的に完全に成熟した大人であること。

7、どちらも、心身ともに健康であること。

8、お互いに相手に「要求をしないこと」

9、これまでのように「相手に尽くすこと」はしなくても良い。

10、相手を守ることも必要ない。

11、相手を思いやる気持ちも少なくて良い。

12、一度「卒婚」に入ってしまうと、もはや元の状態に戻ることはない。

13、仮に、一方が介護を必要とする状態に陥っても、すでに「卒婚」をしているのだから、介護をする気持ちは起きない。

 

*このように考えれば「卒婚」を実践できるのは少数の夫婦で、しかもその期間は限られたもののようです。男女とも、結婚生活を送った人は例外なく「一人で生きたなら、どんなに自由だったのだろうか」と考えたはずです。ただ、その一方で、得られた幸せも又、大きなものであったはずです。

*これまで「家庭内別居」や「家庭内離婚」あるいは「セックスレス夫婦」という言葉は頻繁に使われて来ました。この言葉に共通するのは、「後ろめたい」というマイナスのイメージです。

これに対して「卒婚」という言葉は「後ろめたさ」を綺麗に消し去ってくれるのです。「お互いに何も悪いことはしていない。むしろ、高尚ともいえる結婚生活の第二ステージに入って行くのだ」とのごとく、誇らしく感じてしまうのです。

*「卒婚」は誰もが自由にイメージを膨らませて、「とても魅力的な形なのだ」と思い込まれていく可能性が高いのではないでしょうか。

行政書士みうら国際法務事務所は、公正証書遺言・任意後見契約書・贈与契約書・死因贈与契約書・結婚契約書(婚姻契約書)等の書類作成支援及び提出代行又、それらに関連する総合コンサルタント業務を承ります。