行政書士みうら国際法務事務所

<最良の解決策をご一緒に考えましょう>

(養子)離縁

特別養子と普通養子とでは離縁の対応が全く異なります。特別養子とは、6歳未満の子どもに対して特別の保護を目的として、家庭裁判所の許可の元に、25歳以上の夫婦と実子と同様な状況で入籍している子どもです。特別養子縁組とされて、実親及びその親族とは親族関係がすでに解消されています。

 

<特別養子の離縁>

特別養子縁組の離縁は原則として認められません。当然に養親は離縁の請求をする事ができません。仮に養親のどちらかが亡くなったり、重い病気になった場合も同様です。特別養子は特に保護されなければならない為、このように決められています。

離縁を請求できるのは、特別養子本人・特別養子の実父母・検察官のみです。即ち、特別養子の側から離縁の請求をします。

特別養子縁組において、離縁が認められるのは、以下の3つの条件がすべて満たされていると家庭裁判所が判断した場合のみです。

1、養親による虐待・悪意の遺棄・そのほか、養子の利益を著しく害する事由がある事。

2、実父母によって相当の監護ができる事。

3、養子の利益の為、特に必要があると認められる事。

結果は裁判所の許可(審判)によって確定します。

 

<普通養子の離縁>

普通養子の離縁は 1、協議離縁 2、調停離縁 3、審判離縁

4、裁判離縁の4種類があります。

<協議離縁>

協議離縁は養子と養親が協議をして、円満に合意ができれば、市役所で養子離縁届の用紙を受け取り、双方署名・押印します。同時に2名の成年者の証人の署名・押印も義務付けられています。この用紙は国で定められた用紙の為、市役所の窓口で交付されます。コンピュータによるダウンロードはありません。又、郵送での交付は基本的になされていないとの事です。

<公正証書による離縁協議書>

普通養子縁組をする際、養親・普通養子とも当然に将来の相互の扶養を契約書の有無に関わらずしたと考えられます。財産面においても、年若い男女の結婚等と大きく違い、養親の方には相応の財産がある場合も多いと思います。同時に普通養子も教育等においてそれなりの援助も受け、将来の財産分与も計画の中に当然に含まれているのが自然でしょう。

従って穏便に、且つ円満に解決するには「離縁協議書」を「公正証書」で作成し、公証役場にて原本を保管してもらい、後日両者間で

争そいにならないようにしたほうが良いでしょう。行政書士はこの

「離縁協議書」の作成支援と提出代行を致します。

調停離縁

協議にて離縁が成立しない場合は、調停・裁判へと進みます。この場合、必ず調停を先にしなくてはなりません。調停前置主義と呼ばれます。調停の申立ては相手方の住所地の家庭裁判所にします。書類の用紙や内容でわからない時は、家庭裁判所の書記官に聞いて下さい。丁寧に教えてくれます。又行政書士は書類作成支援と本人の使者として提出代行を致します。

調停の出席は一人でできます。但し、費用はかかりますが、弁護士に依頼して、代理人として行動してもらう事も可能です。代理人とは、本人が出席せずに弁護士お一人のみが出席する事をさします。尚、調停室に本人と弁護士が共に出席して進める事もできます。調停委員とは、元公務員・元教員等その地域において長く公共の仕事に携わって来た方が多く見えます。法律の知識は特別高い訳ではありませんが、常識的な判断をされる方が多い様です。但し、一部ではありますが、やや独断的な事を言う調停委員も見えるようです。又、弁護士資格所有者には弱いというのは共通しています。新人の弁護士に対しても全く同様です。しかし、相手が弁護士を使って来た場合、この事が相手側にとって一方的に有利になるという心配はいりません。どうしても不利に進みそうならば調停不調として、調停の打ち切りを決断すれば良いのです。

 

<調停不成立と調停取り下げ>

この二つは全く違います。裁判に進みたいならば、必ず「調停不成立にして下さい」とはっきり調停委員に言って下さい。絶対に「調停取り下げ」はしてはいけません。裁判に進めなくなります。調停の回数は通常2回~5回位が多いようです。毎月1回位のペースで進められます。ですから申立てから解決まで4ヶ月~8ヶ月以上見ておく必要があります。調停不成立の決断は本人がする場合と調停委員がする場合とがあります。調停委員の日当は3,000円から5,000円程度と言われています。調停委員にも成績があります。ですから、まとまる可能性の低い案件については調停不成立にしたほうが調停委員にとっては好ましいと考えられます。

 

<調停成立>

 調停離縁が成立すると、申立人は、調停成立の日から10日以内に調停調書を添付した離縁届を本籍地の市役所に届け出ます。

尚、調停の成立によってすでに養子縁組は解消されていますので、離縁届の提出は報告的届出と呼ばれます。

 

当事務所では調停に臨むアドバイス及び、調停申立書の作成支援・提出代行をする事ができます。

 

裁判離縁

離縁の最終決着は離縁裁判によって争われます。調停が不調になったその家庭裁判所で訴訟を起こします。現在裁判所は多くの業務により、かなり混雑した状態になっています。離縁裁判はほぼ1ヶ月~2ヶ月に1回のペースで進められます。決着までは1年~1年半以上もみなくてはいけません。裁判の途中で通常「和解」を勧められます。和解の内容が納得できるものならば、それに従ったほうが良いでしょう。裁判上の和解ができない時は判決まで進みます。

この判決に不服の方は、高等裁判所において第2審を争うことになります。しかし、よほどの事がない限り第1審が支持されるようです。従って、通常、逆転判決など望んでもむずかしいと考えられます。最高裁判所もありますが、憲法に関わる事など、特別な理由でもない限り、実務上ないといえます。 

離縁の慰謝料

養子になった方は、かつて養子縁組をした時には、当然に相続の権利も手にした訳です。養親が資産家であった場合には、その期待も大きかったはずです。しかし、事情が変わった場合の慰謝料は果たしてどうなのでしょうか。一般的には「離婚」と比べてかなり低い判決が出ると言われています。

離縁届

調停でまとまれば「調停調書」、裁判まですすめば「判決」がでます。協議離縁の場合は、成年の証人2人の署名・押印のある離縁届を市役所に提出しました。しかし、家庭裁判所で解決した場合には、裁判所から渡された判決の謄本を添付する事によって、離縁届を受理してもらう事ができます。尚、判決の確定した日で離縁はすでに成立しています。ですから、離縁届の提出は報告的な意味となります。判決の確定した日とは、実際に判決を言い渡した日ではありません。控訴する事ができる最終日、又は控訴しない事を表明した日になります。

 

死後離縁

養親又は養子の一方が亡くなった場合、残された方は家庭裁判所の許可を得て、離縁届を出す事ができます。養子側が残った場合、離縁届を出さずにいると、養親側との血族関係は消滅せずに残っています。

 

特に特別養子の場合は注意しなくてはいけません。特別養子はすでに本来の血族とは縁の切れた状態になっています。これを復活させる為には離縁する必要があります。離縁が成立すると、養子は元の戸籍、元の氏に戻ります。又、実父母の親権が復活します。