行政書士みうら国際法務事務所

<最良の解決策をご一緒に考えましょう>

子連れ再婚

<再婚の現況>

年間婚姻件数は1972年(昭和47年)の109万件をピークに減り続け、ここ数年は71万件前後という統計があります。そのうち再婚の割合は夫18.3%、妻16.1%で40年前と比べると2倍以上になっています。

 

<子連れ再婚>

離婚数の増加に伴って再婚はごく普通のことになって来ました。特に男女のいづれかが子どもを連れての「子連れ再婚」が目立ってきています。男女それぞれが、あるいはどちらかが離婚というつらい経験をしてきています。ですから、なおさら「今度こそ幸せになりたい」と再婚を考えている方すべてが強く思っているはずです。でも子連れ再婚には多くの困難が待ち受けているのは現実です。新たに出会った、素敵な、尊敬できる方と一緒に暮らしたいと思うのはごく自然な事です。このお二人の純粋な思いを実現させる為には、再婚前及び再婚した後も相互に話し会い、協力し、解決していかなくてはならない事が数多くあります。お二人がそれぞれ前向きに将来に向かって進む事はとても大切です。しかし、お二人がそれぞれ幸せとなり「再婚して良かった」という結果を迎える為には、冷静な現況に対する正しい判断と、誠実な努力が不可欠です。決して、一時的な「この人が好きになったから再婚したい」などの理由から安易に決めてしまうのは誤りである事は誰もが知っているはずです。

 

<再婚前に話し合う事>

子連れ再婚は、いやおうなく子どもを巻き込んでしまいます。従って、恋愛中は楽しいことばかりですが、再婚した後の事を真剣に話し会っておかないと「こんなはずではなかった」と取り返しのつかない状況になってしまいます。「愛し合っていれば、困難はすべて乗り越えられる」という妄想は捨てなくてはいけません。この話し合いに真剣に応じてくれない相手とはすぐには再婚をしないほうが良いでしょう。再婚の時期を延期するなど、冷静に対応して下さい。決して、一時的な「ただ好きだから、一緒に暮らしたい」という気持ちだけで進んでも、望むような家庭にはならないでしょう。

 

<話す内容>

次のページでお話しする「結婚契約書(婚姻契約書)」を作成する為の準備としても、話し合った内容を書き出しておく事を強くお奨めします。何もメモを残しておきませんと、話した内容は曖昧になって、いつの間にか忘れてしまいます。

1、理想の家庭像を思い描く

再婚ですから今度こそ理想的な家庭を築きたいと思っているはずです。お二人の間にはすでに子どもがいます。子どもの幸せも考えながら、話し合って下さい。お二人がこれまで経験して来た事は全く別です。従って価値観も違っているはずです。新しい家庭に対する理想や思いを十分に話して下さい。これをいい加減に省略してしまうと、先々、しなくてもいい衝突を繰り返す状態になります。

2、婚姻届の提出事実婚

不謹慎だと考える方も多いかも知れませんが、極めて大切である事をご理解していただきたいと思います。婚姻届を提出する場合のメリットもデメリットもあります。慎重に判断し、提出する時期をお二人で決めて下さい。特に一度離婚という大きな経験をしているのですから、今度こそ同じ過ちを繰り返すことは何としても避けたい事です。その他として一例として挙げますと、父母が「婚姻届」を提出しますと、これまで支給されて来た「児童扶養手当」は当然に打ち切られます。又、母子家庭・父子家庭に対してこれまであった手厚い助成や手当及びさまざまな援助は全くなくなります。

3、子どもとの養子縁組

養子縁組をするメリットもデメリットもあります。よく理解しないま決めてはいけません。養子縁組に特別養子と普通養子があります。特別養子とは実親との親子関係を終了させてしまう方法です。当然ですが、再婚する実親とは切れる事はありません。切れるのは別れた実親の方です。6歳未満で、再婚する相手の「非嫡出子」の場合に家庭裁判所が許可するのが通常とされます。従って、この事例は極めてまれとされます。即ち、ほとんどは普通養子です。

まずメリットをあげます。

イ、親権を再婚相手も持ちます。

この事は分かり易く言えば、相続権や扶養義務が発生する事を意味します。サラリーマンで給与取得者なら「家族手当」を受け取る事ができる場合もあります。

ロ、戸籍が同一になります。

これまでは、父子は父子同士、母子は母子同士、同一の姓を名乗っていたと思います。再婚の時、仮に父親の姓を名乗った場合には、母親のみが新しい姓になって入籍します。父との間に養子縁組を提出した時に、子も父の姓を獲得し、入籍します。もう一つ養子縁組をしないで、母の子を入籍させる事ができます。その方法はまず先に「婚姻届」を出します。その後家庭裁判所に「子の氏の変更許可の申立て」をします。家庭裁判所の許可が出たら、子の「入籍届」を市役所に提出します。

次にデメリットを挙げます。

メリットの反対の事があります。さらに以下の事を考える必要があります。

イ、元の夫から「養育費の減額請求の調停」が出される

あるいは理解の薄い元夫の場合は、一方的に養子縁組、又は再婚を理由に養育費の支払いを打ち切って来る事も十分にあります。実際、養子縁組が成立しますと、養育費減額請求が認められる可能性が出てきます。

4、元の配偶者やその親族との関係

元の配偶者が生きている場合、又子どもがそちらにいる時、そして死別している場合等、連絡や細かな調整をしなくてはいけません。特に問題となるのが「養育費」と「面会交流」です。これを放っておくと大きなトラブルがすぐにおきます。又、元の配偶者の親族にも気を配る必要があります。いくら、かつての「姻族」だから関係はないと思っても、子どもを通してつながりは残っています。分かり易く言えば、子どもは元の配偶者の相続権を持っています。

死別している場合も新しい配偶者に対して、十分な配慮が必要です。亡くなった方に対しては良い思い出しか残りません。仏壇の存在が新たな配偶者にとっては大きなストレスとなる場合もあります。又法事についての事も十分に話し合っておく必要があります。法事になれば当然に元の配偶者の親族と顔を合わせる事になるのですから。

5、再婚後の生活費と新居

再婚によって生活が楽になると安易に考える方が大勢います。しかし、逆になる可能性も十分ある事を心の片隅に持っておく必要があります。新しい生活を始めるに当たって、とても大きなお金が出て行きます。例えば引っ越し、及びそれに伴う家具その他の用意、子どもの新しい通園や通学に伴う出費、その他考えもしなかった費用が出て行きます。生活が落ち着くには数年かかる覚悟が必要です。お二人で生活費の分担について納得いくまで話して下さい。

新居に関しても十分に検討して下さい。これまでは家族数も少なかったので、比較的狭い場所にお住まいだったと思います。しかし、家族が増えれば、ある程度の面積も必要です。お互いに仕事を持っていればそれぞれの通勤も考える必要があります。

6、子どものしつけ

一番もめやすい事項です。特に実親でない方から見ますと、とても理解出来ない事が多くあり大きなストレスになります。「どんな子になってほしいか」時間をかけて話し合って下さい。又子育ての役割分担が極めて重要です。最も良いのは、「実子の実親が責任を持ってしつけをし、その配偶者は一歩後に下がっておだやかに見守る」というのが子連れ再婚家庭を円満にするコツのようです。

 

<結婚契約書>

子連れ再婚にはさまざまな困難があります。話し合った内容で重要と思われる事は「結婚契約書」にしておいて下さい。行政書士みうら国際法務事務所では「公正証書」による「結婚契約書(婚姻契約書)」作成支援及び提出代行を承ります。この「結婚契約書」は提出以降ずっと有効です。お二人と子どもを守る為にお奨めします。