行政書士みうら国際法務事務所

<最良の解決策をご一緒に考えましょう>

売却・賃貸・Uターン/管理・放置・先送り/空家の解体/山林・田畑・住宅の一括での遺贈寄付引受け

<売却・賃貸・Uターン>

Uターンが決定すれば、ひとまず安心です。あなたとあなたの配偶者が地元に溶け込み、地域の人達と仲良く暮らしていけば良いことです。あなたは、ここの出身ですから、親戚や知人・友人も数多くいることでしょう。旧交を温め、地域に貢献して、いくらかでも過疎化に歯止めをかける役割を担って下さい。配偶者の方には、あなたの故郷を理解していただき、協力していただいて下さい。

<管理・放置・先送り>

Uターンをしないで、ご両親が亡くなり、空き家になってしまった場合はどうなるのでしょうか。実家が比較的新しく、十分使用可能な状態にあれば、賃貸に出すか、売却するかのいずれかを考える必要が出てきます。「空き家のまま放置する」あるいは「次の世代に先送りする」方法もなくはありません。しかし、それは極めて安易であり、将来的にはマイナスになってしまいます。空き家のまま放置しても固定資産税は支払わなくてはいけません。また、あなたの子どもたちの負担はとても大きなものとなります。彼らはその家で生まれてもいませんし、育ってもいないのです。あなた以上に持て余してしまうでしょう。「自分の代で解決しておく」ことがとても重要です。そうすることが確実にご自身の利益となります。

<空き家バンク>

現在、地方の自治体では役所内に「空き家バンク」を設置しているところがとても多くなって来ました。これには理由があります。都市で暮らしていると、地方の実情がわからなくなってしまうこともめずらしくありません。都市では、どんな駅前にも「不動産会社」は存在します。しかし、田舎では不動産会社の存在しない地域があるのです。かつてはあったけれど、「廃業してしまった」や「移転して行ってしまった」等でなくなった例も多くあります。また、「賃貸」した場合の「仲介手数料」は、最大でも家賃の1ヶ月分です。故郷の家での家賃は、「1万円から3万円程度が需要の多い家賃帯」とされています。つまり、不動産会社は仲介しても赤字になってしまうのです。売却も厳しい状況です。需要の多いのは、土地が100坪(約330平方メートル)付いて、500万円以下とのことです。ですから、不動産会社は、もし存在しても、利益の薄い物件に関しては、賃貸も売買も積極的にはならないのです。こうした状況の中、「空き家バンク」は極めて価値の高い仲介組織となったのです。ですから、もし、あなたの故郷に空き家バンクがあるのなら、ぜひ利用して下さい。空き家バンクは賃貸も売却も担当してくれます。

<空家のリスクと悪影響>

空家には、人が住めるものから、住むには危険なものまで様々あります。空家には多くのリスクがあります。

1、倒壊する危険

2、強風や台風による破損や散乱

3、不審火、自然発火による火災

4、庭木の繁茂

5、害獣・害虫・シロアリ・ダニ・かびの被害

6、異臭・悪臭

7、近隣からのクレーム

8、不法侵入

9、不法投棄

10、損害賠償責任の発生

空家は、常に、適切に管理し続ける必要があります。特に、倒壊や破損・散乱、火災の発生等があれば、直ちに損害賠償責任を問われる可能性があります。他人に損害を与えることのないように、十分な配慮をしなくてはなりません。

<空家の解体>

「空家対策特別措置法」が平成27年5月26日に完全施行されました。この法律によって、これまでは、登記簿だけでは特定できなかった、空家の所有者を、固定資産税の納税記録を用いて特定できるようになりました。

 

確認作業の結果、「特定空家」であると判明した場合は、これまで、1/6に軽減されていた固定資産税が、元の税率に戻る(今までの6倍の額を支払う)ことになります。

(注意・固定資産税評価額に対して、200㎡までは1/6で、200㎡を超える部分は1/3となります。また、都市計画税評価額に対して、200㎡までは1/3で、200㎡を超える部分は2/3となります。)

 

ただ、自治体レベルの空家対策としては、所有者が自主的に空家の解体を行った場合に、税率の軽減を継続する内容の条例が打ち出される可能性があります。

 

<空家と特定空家>

「空家」の定義は、国土交通省によって、「1年を通して、人の出入りや、電気・ガス・水道の使用がないこと」と規定されています。

また、そのうち、「特定空家(自治体が判断し、市町村長の助言や命令が及ぶ空家)」とは以下の4条件のいずれかが該当する空家を指します。

1、倒壊等、著しく保安上危険となる恐れのある状態

2、著しく衛生上有害となる恐れのある状態

3、適切な管理が行われていないことにより、著しく景観を損なっている

  状態

4、その他、周辺の生活環境の保全を図るために、放置することが不適切

  である状態

<行政代執行>

特定空家等に対する措置として、「行政代執行」が実施されることがあります。これにより、危険な特定空家の所有者に対し、必要な措置(除却、修繕等)をとるよう指導を行っても、それを履行しない場合や、期限内に完了の見込みがない場合などに「行政代執行法」によって、強制的に除却(解体工事)されてしまいます。


さらに、強制撤去にかかった費用は、空家所有者の負担となり、もし、支払いができない場合は、財産を差し押さえられることになります。

また、地域の条例によっては、代執行が実施された空家所有者の住所や氏名といった情報を公表されてしまうことも有り得ます。


<相続・売却における解体工事>

相続により、取得した空家を解体したり、売却するには、「名義人」を登記する必要があります。仮に5人の共有で取得した場合でも、実務上は代表者1名を決めて、その1名のみが登記するのが合理的です。こうすることによって、解体工事の決定や売却の手続きが1名のみで進められるのです。余分な登記費用を節約し、売却時に複数の売主が存在するわずらわしさから逃れることができます。

<解体工事の実施時期>

売却の際にかかった費用は、譲渡費用として、譲渡所得から控除されます。但し注意点があります。

まず、解体工事の目的が、その土地売却のためであるということが明らかであることです。そして、経費として認められるのは、原則として、解体後1年間のみであることです。

ですから、将来の売却のために、とりあえず建物を解体しておこう、とするのは誤りです。解体工事は土地売却が決まってから行うべきです。


また、解体工事費を「譲渡に要した費用」と認められることが必要です。そのためには、売買契約書の中に「解体を売主負担で行うことを、本契約の成立要件とする」との文言を入れておくと良いでしょう。


<解体工事の発注先>

解体工事の発注は、直接、解体業者に発注するのが最も合理的です。不動産会社や建設会社に発注しますと、中間マージンが発生します。通常20 ~30%高くなってしまいます。また、間接的になりますから、意思が十分に伝達出来なくなります。

そして、見積もりは、必ず3社以上に依頼します。この時、注意するのは、金額だけでは不十分です。中には悪徳解体業者も存在することがあります。具体的な例では「その土地の土中に廃棄物を埋めてしまう」また、「不法投棄」や、「違法な廃棄方法で処分する」等があります。

<宅地・農地・山林>

空き家は空き家バンクや不動産会社に依頼することができます。農地や山林はどうなのでしょうか。まず「農地」は「農地法」という法律によって、とても厳しい制限を受けているのです。農地を農地のまま賃貸、または売却するには、「農業委員会」の許可を必要とするのですが、その前に借主・買主に制限があるのです。まず、農家である個人と、営農許可を取った法人にしか、賃貸も売買もできないのです。ですから、農地の所有者は、親戚・知人・友人のネットワークを通じて、引受け手を探すことになるのです。また「農業協同組合」も頼りとなりますから、相談に行く必要

があります。

<森林組合>

森林(山林)の買主は農地法のような厳しい制限はありません。即ち、買主に制限はなく、許可の必要もありません。しかし、森林は農地以上に売却がむずかしいとされています。なお、森林の賃貸は余り例がないとされています。宅地に隣接している小規模な森林は、宅地と一体として賃貸されることもあるようです。農地は農業生産物から利益を得ることができます。しかし、森林から利益を得ることはとてもむずかしいと言われています。日本国内の材木の自給率は現在20%台とされています。海外からの安い材木が多く輸入されることによって、国内の材木は伐採しても赤字になってしまうようです。一般的に森林の売却先は、森林組合を通じて探す場合と親戚・友人・知人に買ってもらうことが多いようです。

<公道に接していない山林>

不思議に思う方がいるかも知れませんが、公道に面していない山林がめずらしくないのです。つまり自分の所有する山林のまわりがすべて他人の土地(山林)なのです。なぜ、そのようになっているのかは不明です。中には、自分の所有する山林に一度も足を踏み入れたことがない、という人さえいるのです。山林は平地と違って、所有が不明確になりやすい性質があると考えられます。仮にしっかりとした私道が通っていて、その私道の利用が契約等によって確実に保障されているのなら何の問題もありません。しかし、そのような例は少ないと思われます。その場合、売却可能な相手は、隣地の所有者のみになってしまいます。

公的な機関や団体は、境界が不明確な土地は基本的に取得しません。日本では土地の境界が不明確な森林が多くあります。売主となる方はきちんと測量を行って、境界を確定する必要があるでしょう。

山林・田畑・住宅の一括での遺贈寄付引受け

相続人の全くいない方、または、相続人はいるが親しい付き合いもなく、相続させる意思がない方は、遺贈寄付が適切でしょう。

しかし、いざ遺贈寄付をしたいと思っても、現金は可能ですが、不動産を引き受けてもらえる団体はほぼありません。

 

社会貢献を目的とした「任意団体災害被災者被害者支援協会」は、山林・田畑・住宅を一括して引き受けてくれる貴重な団体です。

もし、適切な遺贈寄付先が思い当たらない方や、不動産を持て余している方はぜひご検討いただきたいと思います。

 

以下にその団体のホームページを記載します。