行政書士みうら国際法務事務所

<最良の解決策をご一緒に考えましょう>

養子縁組

<親子法の歴史>

親子法は次のような歴史をたどりました。

①家の為の親子法(家父長制)

②親の為の親子法(父権的色彩が強い)

③子の為の親子法(子の福祉が中心)

 

現代の親子関係は、正式の婚姻を重視し、婚姻から生まれた子を大切にする考え方と、婚姻外で生まれた子も差別しないという考え方の両方を調和する事を基本としています。

 

<実子と養子>

養子制度は次のような歴史をたどりました。

①家の為の養子制度 (跡継ぎ)

②親の為の養子制度 (親の満足)

③子の為の養子制度 (子の福祉)

 

実子には正式な夫婦の子である嫡出子と婚姻外で生まれた非嫡出子とあります。養子は法律による親子関係です。

<養子制度>

現代における養子制度は、子の利益・福祉を重視する「子のための養子」を基本理念とするものと言われており、我が国の養子制度も例外ではありません。その反面我が国の養子法は成年養子を認めており、子のための養子制度として徹底したものではありません。統計的に見ても、成立する養子縁組の2/3を成年養子が占めている事実があります。このことは成年養子に対する根強い需要がある事を端的に示しています。

<特別養子制度創設の理由>

特別養子制度は昭和63年(1988年)1月1日より施行されました。わが国では出生後まもない他人の子を戸籍上自分の子として届け出ることがよく行われてきました。養子であることを知られないようにする為に虚偽の出生届が利用されたものです。又、ある産婦人科医が中絶をさせない為に、出生した子を他人にあっせんした事件でも虚偽の出生届が利用されました。このような出生届のなされた子の法律上の地位は、いつ戸籍上の親との親子関係を否定されるかわからないというきわめて不安定な状態におかれていることになります。

さらに、養子縁組後、実親と養親の2組の親が存在し、戸籍上も養子であることが明示されていることから、未成年の養子に対し実親やその親族から不当な干渉がなされることも否定できず、子の福祉の為には必ずしも適切な配慮がなされているといえません。

そこで、特に、家庭に恵まれない幼少の子に暖かい家庭を与え、その健全な育成を図ることを目的として創設されたのが特別養子制度です。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                養子には特別養子普通養子とあります。特別養子とは6歳未満の子を対象に、養親の一人は25歳以上、他方は20歳以上の正式な夫婦のみ養子縁組をすることができます。特別養子縁組は「家庭裁判所の審判」を経て成立します。「家庭裁判所の審判」の材料となる制度が「事前監護制度」です。この制度では「養親となる者に、養子となる子を6ヶ月以上の期間で試験的に養育させなければならない」と定められています。家庭裁判所は、この事前監護の状況を総合的に考慮して審判をします。審判が確定した場合は、その確定した日から10日以内に、申立人は市役所にて戸籍の届出をしなければなりません。尚、戸籍には特別養子であることが分からないように記載されます。その最大の理由は、実父母や従前の親族との親族関係が完全になくなってしまうことです。

 

普通養子の場合、養子となる者に年齢の制限はありません。但し、養親となる者は成年者でなければなりません。又、養子は養親より年少でなければなりません。未成年者を養子にする場合は家庭裁判所の許可が必要です。さらにその未成年者が15歳未満の場合には、親権者など法定代理人の承諾が合わせて必要となります。 

又、養親から見て、尊属に当たる方は、たとえ年少でも養子にはできません。叔父や叔母は不可能なのです。

 

普通養子において、養子が未成年の場合、養親が独身者であっても又、配偶者がいても養子縁組は可能です。但し、養親に配偶者がいた場合には、必ず養親夫婦で一緒に養子縁組をしなければいけません。

 

養子が成人になっている場合は、養親夫婦が一緒に養子縁組をする必要はありませんが、養親となる人は、配偶者の同意を 必ず得る事が必要です。又、養子になろうとする人に配偶者がいる場合です。この時は、養子の配偶者の同意が必要です。                      

配偶者の未成年の子(連れ子)との養子縁組は2通りに分かれます。まず配偶者の嫡出子が6歳未満でも、6歳以上でも原則として普通養子となります。次に配偶者の非嫡出子においては、6歳未満の子の場合に限り「特別養子」として家庭裁判所から許可がでる可能性があります。6歳以上は普通養子です。どうして嫡出子と非嫡出子で区分されるのでしょうか。連れ子が配偶者の非嫡出子である場合には、他方の実親との親子関係を終了させても子の利益が害されることも少なく、一般的に子の保護の必要性が認められるべきだとされています。

 

養子縁組の日から、養子は養親の嫡出子としての身分を得ます。又、養親の戸籍に入り、養親の氏を称する事になります。普通養子の場合、実親と養親の二つの血族関係を同時に持つ事になります。これに対して、特別養子は養親との血族関係のみを持ち、実親との血族関係は消滅します。

<養子あっせん許可制へ>

民間の養子縁組あっせん事業を届け出制から都道府県などによる許可制へと規則を強化する新法が平成28年12月衆院本会議で可決、成立しました。同事業のルールを明確化した初めての法律で、急増する民間事業者の質を確保しつつ、特別養子縁組を推進するのが狙いです。

法律の正式名称は「養子縁組あっせん法」とされ、2018年10月から本格的に導入されました。

2018年末時点では、全国で18団体が許可を受けています。

 

厚労省の調査によると、これまで、特別養子縁組のうち約4割を民間のあっせん団体が行っていた。運営主体は「NPO法人」や「医療法人」が多い。 

届け出制の時、民間の事業を巡って不透明な運営が数多く指摘された。

一部の団体は「寄付金」等の名目で、多額の現金を養父母から受け取っていたとされ、悪質な「営利目的」での養子あっせんと判断された。

<改正民法成立/特別養子縁組15歳未満に>

特別養子縁組の対象年齢を原則6歳未満から15歳未満に引き上げる民法などの改正法が2019年6月7日可決、成立しました。公布から1年以内に施行されます。

 

1988年に始まった特別養子縁組制度は、実親とは暮らせない子供に対し、血縁のない夫婦と「親子」になる道を開くものです。

予期せぬ妊娠や経済的な困窮で、実親が民間団体に相談したり、虐待を受けた子供を児童相談所が保護したりした後、縁組の検討に入るケースが多い。

 

年齢制限は原則15歳未満ですが、「15歳になる前から養親を希望する夫婦に養育されている」他の条件を満たしている場合に限り、15歳から17歳も特別養子縁組が可能とされる。

 

さらに、家庭裁判所の審判を2段階に分けることにした。

第一段階は、「実親が本当に子供を育てられないのかの確認と、縁組への同意」を判断する。

第2段階で「養父母の適格性」を判断する。

第一段階の審判後、2週間たつと、実親の同意の撤回は出来なくなる。

 

これまでは1回の審判で決定していた。現行制度では、審判が決まるまではいつでも実親が縁組の撤回をすることが出来た。そのため、土壇場での撤回も多数行われ、成立の直前で壊されてしまう事例が目立った。

 

新制度では、児童相談所の関与も可能となる。

一つは、所長も縁組の申し立てが可能になったこと、もう一つは養父母が申し立てた場合は、所長が裁判手続きに参加できるようになったことです。

 

特別養子縁組の成立はここ数年、年間500~600件程度にとどまっている。年度別で見ると、2008年が309件で2017年が616件となっている。親が養育できずに保護を必要とする子供は2018年3月末時点(厚労省調べ)で約4万4000人にのぼるが、ほとんどは児童養護施設などで暮らしている。

今回の改正により、特別養子の「倍増」を目指すとされます。

<親の戸籍から養子・実子が消える事例>

以下の場合には親の戸籍から養子・実子の記録が消えています。

とても重要な事実です。  

1、養親が転籍した時には、養子がいる事が消えます。

  市役所のミスで消えたのではありません。

2、同じく、認知した父親が転籍した場合も実子の記載は

  消えます。

3、旧戸籍法(昭和23年以前)において、母親が非嫡出子

  を生み、同時に父親が認知して、父の戸籍に入れた場合、

  母の戸籍には出産した事実も記載されていません。

  即ち、この母が亡くなった時、子からの申し出がなければ

  この子が母の相続人であると誰も気付きません。

 

*養子縁組・離縁・認知等に関しまして、行政書士みうら国際法務事務所は「書類作成の支援」「提出の使者又は代理人」として、裁判所・公証役場・市役所その他に対し、業務を行います。ご相談下さい。

 

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